堂ヶ島温泉2 清水次郎長資料館の追憶

2022年1月22日

静岡県への一泊二日の社員旅行

バスは高速道路を走り続け 男達は酒を飲み続ける

喉を痛め 数日前までを繰り返していた自分は
社員旅行に合わせ万全の体調で参加しようとクスリを飲んだり のど飴を舐めたりすることもなく
ただ 喉が治るように祈りながら その日まで過ごしていた

祈りが何かに ほんの少しは届いたのか 旅行当日には咳が出ないぐらいには少し回復していた

そんなコンディションの自分は治りかけの喉を気にする事もなく
バス後部 宴会席で皆と酒を飲んでいた

最初の観光地 梅蔭禅寺にバスは到着した

立派な建物が お出迎えしてくれるが であるため一般の観光客は この中には入ることは出来ない

その横にある小さな入り口から お目当ての次郎長資料館へと行くのだ

中に入ると清水の次郎長資料館と言うだけあって 次郎長に関する資料や歴史が紹介されている
実際に清水の次郎長が使っていた道具や武器 防具も飾ってあった

自分は残念ながら 清水の次郎長の事を知らないので
周りのオッチャン達が喋る会話に 適当に相づちをして時間を潰すことしか出来ない

観覧ルートに従いながら オッチャン達の後をトロトロ歩く
その横を親分の子供達が走り向けて行った

子供に清水の次郎長は難しいだろう 走り回るのが唯一の暇つぶしになっているようだ

自分も一緒に走ろうかと思ったが
「色々と騒がしい時期ですので 館内では お静かに お願いします」と釘を刺されていたので

(2015年に山口組分裂騒動が起きている 清水一家自体は1966年に解散しているのだが
2007年に六代目山口組六代目清水一家が名乗られ 清水一家の名前が復活した 血縁関係等があるわけではない)

ここは立派な大人として自重すべきと判断し 静かにオッチャン達の歴史を感じる後頭部を見ながら歩いた

資料館は そのまま中庭に続いている

中央に池があり その周りをぐるっと歩く

歩きながら中庭の風景を見ていたら 自分の心に何か感じるものが沸き上がってきた

懐かしいと言うのか この場所を知っていると言う既視感 デジャヴ

自分は眉間にシワを寄せながら考える
テレビか何かで見た事があったか?

自分は不思議な感覚に捕らわれながら中庭を歩いた

更に歩いて行くと 次郎長が眠る墓があった

墓の前には人が集まり墓を見ている その中には会長の愛娘 愛姫の姿もあった

自分は墓を見つめる愛姫を見て 突然 頭の中に お蝶 と言う名前が浮かんだ

お蝶とは誰だ?あれは愛姫だ お蝶ではない

困惑する自分の頭の中に次々と名前がよぎる
辻の勝五郎 桶屋の鬼吉
一体 何なんだ?何で こんな名前が頭に浮かぶんだ……
大政 小政
そうだ……知っているんだ 自分は知っているんだ
森の石松……

記憶がフラッシュバックする

そうか……遠い昔……自分が今の自分に生まれ変わる前 前世の記憶
自分は 清水……

墓の前にいる愛姫が こちらを振り向く

ああ…お蝶 君は お蝶なんだね そうか……そうゆうことか

自分は昔 清水の次郎長だった

これで 全て納得がいく この場所への既視感 懐かしさ 愛姫に引かれる理由

自分は愛姫 違う お蝶に向かい歩き出す

その時 近くで話をしている エアー君と親分の会話が耳に入った

親分は
「俺は最初の旅行から 社員旅行に参加しているけど ここに来たの4回目だな」とエアー君に言っている

それを聞いたエアー君は お蝶に向かい歩き出した自分に声をかけてきた
赤原も2 3回は来てるんじゃないか?毎年 参加しているんだから」

えっ?!来たことあるの?ここに自分は?……と言う事は 前世は清水の次郎長ではないのか……
既視感ではなく実際に来ていたのか この場所に

そう言われると来たことあるような気もするし 見覚えのある風景だ だが それ以上は思い出せない

旅行の記憶は いつも断片的にしか自分には残っていない

記憶の断片を思い出そうと棒立ちになっていた自分の横を 愛姫は怪訝な目で見ながら素通りして行った

社員旅行は 毎年 同じ観光会社に頼んでいるので 旅行に付き添う添乗員も同じになる
何度も観光をしているのを承知で ここを選んだに違いない

散々 バスの中で揺られ 最初の観光が過去に来たことがある場所って どうなの? と添乗員のオッチャンの歴史を感じる頭を はたきたくなった瞬間である

次の観光地に期待する

この後の旅行の予定は清水エスパルスドリームプラザでの昼食になる

誰が買って用意した物かは自分は知らないが 宴会席のテーブルにミニサラミが大量に置いてあり
それを1人で食べ尽くした自分は お腹が減っていない

しかも 自分は今回の旅行に おやつを持参していた

愛姫には 「おやつは500円まで」と冗談で言われていたのだが
自分は その3倍の金額分の おやつを持ってきていて 既に半分を1人で食べている

酒の お供にグミは欠かせない

そんなものを大量に お腹の中へ蓄えた自分は 今から昼食だと言われても気乗りがしない

だが 自分の気持ちを鑑みる事もなく バスは無慈悲に進んで行くのだった

昼食のある清水エスパルスドリームプラザへと

清水の次郎長と お蝶がいたので乗せておく

う~む お蝶が ツンデレキャラに見えてくる