堂ヶ島温泉5 露天風呂 女湯 ああ もう すること確定でしょ

駿河湾をフェリーにて渡ったバスは土肥港に着くと
すぐさま宿泊先である堂ヶ島温泉へと向かう

ここまで来るとバスの窓から見える富士山は
最初に首都高から見えた富士山とは比べようもないほど大きく見える

バスガイドさんは 凝りもせずに「富士山が見えますよ」を連呼するが
はっきり言って 富士山を見るのに皆 飽きている

しかも 口には出さないが
今回の旅行のうたい文句 フェリーから眺める富士山が思ったよりも……アレだったので余計に食傷気味である

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宿泊地にて

長らくバスに揺られ ろくな観光もしていない社員旅行一同の皆の頭の中は
早く宿にて休みたいと 温泉に入る

そして その後の宴会の事で埋め尽くされているだろう

そんな願いを叶えるがごとくバスは 宿泊先のホテルに着いた

そして バスが止まるとホテル名の入った法被(はっぴ)を着たオジサンが車内にせかせかと乗り込んで来る

早々とバスを降りようと席を立つオッチャン達をなだめ
法被のオジサンは話を始めた

内容は ホテルの館内案内と注意事項だった

わざわざバスに乗り込んでまで 最初に法被のオジサンが話をしたのかは
このホテル特有の作りのせいだと注意事項を聞いて自分は納得がいった

大概 ホテルと言うのは大浴場に隣接する形で露天風呂がある物だが

このホテルは大浴場から離れた所に露天風呂がある

そのせいで露天風呂の場所を最初に説明し それに伴う注意事項の説明が必要だったのだ

法被のオジサンの話した内容を要約すれば

露天風呂までの行き方は
大浴場で身体を洗いタオルで拭いたのち 服や浴衣等のお召し物を着て大浴場を出る

そして 非常階段の扉をくぐり外に出て 外階段を降りた先に露天風呂がある

この露天風呂は海に面しているため環境保護の観点から石鹸等の使用は禁止

露天風呂まで降りる階段は 滑りやすいので注意して欲しい だった

露天風呂への行き方は大事だ

露天風呂の場所が分からずに 裸のままホテル内を彷徨うオッチャン達は
映画に出てくる大量のゾンビよりも恐怖を感じる存在だろう

ホテル側としては避けたい現象

1人のオッチャンが裸で大浴場を出ていけば
それを見たオッチャンが 『あいつは露天風呂の場所を知っているのか』 と思い裸で付いて行く
ついて行った裸のオッチャンを見たオッチャンが また 裸で付いて行く

驚異の感染速度 驚愕の無限増殖

気が付けば ホテル内は露天風呂を求め裸のオッチャン達が彷徨う危険地帯!!

逃げまどう愛姫!!迫り来る危機!!

「こっちだ 愛姫!!」

勇敢なる救世主!!闇の中の光!!

「赤原さん!エアー君!2人は無事なのね」
「このホテルの地下に人の通れる排水路がある 逃げ道は そこしかない」
「行こう 愛姫 さぁ手をとって!」

つかの間のラブロマンス!!伝わる愛のぬくもり!!

「自分を置いて……行け…」
「ここまで来て置いて行けるか!!」
「まさか…感染…?」
「いいから早く行け 自分は少し休んでから追い…うう…露天…風呂…露出…露出し…
早く…行け!!うう…愛姫うう露出したい 見て愛…」

切ない別れ!!容赦なく襲い来る裸のオッチャン達!!

「なんだと?!行き止まり…そんな馬鹿な…」
「これも裸のオッチャン達の仕業?」
「違う!奴らに そんな知能はない…まさか…あいつが…」

友情の果ての裏切り!!消えない思い!!

進化する裸のオッチャン!!

希望を捨てるな!恐怖に負けるな!!

そしてラストに彼らが目にする衝撃の真実とは!!

カミングスーン
決して最後を人に教えないでください

と言うわけで 裸のオッチャン達の増殖を防ぐには 皆が揃っている前での説明が必要不可欠だったのだ

露天風呂への行き方は分かった

ただ 4月とは言え静岡県は寒い 大浴場で温まった後に寒い外に出て露天風呂に入る人が そういるとは思えない

そんな疑問を自分は持ちながらバスを降りる

部屋割りされた各自の部屋へ

部屋には5、6人で宿泊する

その際の部屋割り 誰が誰と同じ部屋になるのかは 愛姫が前もって考えてくれているのだが
これが一筋縄ではいかない事のなのだ

はたから見ても仲の良い悪いとかのオッチャンもいるしタバコを吸う吸わないや
家族で来ているなどの制約がある

そのため 適当にシャッフルしてと言うわけにはいかない

制約があるため自由度がない

毎年 似たようなメンバーで部屋に宿泊する事になるのだが
今回 自分はエアー君と共謀して愛姫に部屋割りの融通をしてもらった

と言っても
当然 愛姫と同じ部屋になれるわけもなく 基本 オッチャン達と同じ部屋だ

右を見ても左を見てもオッチャンばかりの社員旅行なのだから
オッチャンの中からオッチャンを選ぶだけだ

同じ部屋になったオッチャンの紹介は後回しにして先に進む

部屋に入り最初に目に飛び込んで来たのは窓一面の駿河湾

真正面に海が見える部屋をオーシャンフロントと言う

このホテルは海沿いの岸壁を利用した独特の作りで建てられていて
バスから降りフロントのある正面玄関に入ると そこが建物の5階になっている

入口が1階ではないのだ

ただ 変わった作りのおかげで海だけは良く見える

海を見て 自分の中に嬉しさと楽しさが湧く しかし何故か物悲しい気分も同時に湧いてきて奇妙な気分だ

取り敢えず写真を撮ってみた

駿河湾

岩なのか小さな島なのか よくわからない物が撮れた

ただ 後で気がついたのだが 撮るべき被写体を自分は間違えていた

撮るべき島が写真に入っていないのだ

写真に入っていない もっと右の方にあるのが撮るべき島だった

その島の名は 三四郎島と言う

この島はトンボロ現象と言われる 干潮時に海の水が引くと海底が現れ 島へと歩いて渡れるようになる島なのだ

その三四郎島を写真に収めていなかった

自分が見た時は干潮時ではないので ただの海にある島なのだがなっ!

しかし 自分は窓から右方向を見た時に
三四郎島よりも被写体に相応しい物を見つけた

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露天風呂だ

右の方向に小さな建物がある
場所的にも法被のオジサンが言っていた露天風呂の位置と合う

自分は窓から身を乗り出し目を凝らす

内心
常識的に考えて ホテルの客室の窓から見える位置に露天風呂を設置するはずがない
あれは露天風呂ではなく別の建物なのじゃないかと思ったのだ

海からの冷たい潮風に吹かれながら 己の限界に挑戦するが如く自分は更に窓から身を乗り出す

手を滑らせば バランスを乱せば 間違いなく地表へと落下する
助かる事はないだろう まさに 命がけ!!

キリキリと唸る腕の筋肉 耐えろ 頑張れ!

あれは あの建物は……

間違いない!!あれは 露天風呂だ!!

木の枝がすこぶる邪魔だが 奥に見えるのが男湯 手前が女湯だろう

露天風呂

これは自分の勘だ

男湯よりも女湯の方が防御されているのが世の常だ

この建物も片方は開放的なのに比べ もう片方は鉄壁の守りを有している

ある意味 男女差別な気もするが男は見られてもいいと言う事なのかも知れない
むしろ見て欲しいと言う事か

窓枠を掴んで身体を支えている手が痺れてきたが
もう少し粘れば女湯に人が来るかもしれないと言う淡い考えが自分に力を与えてくれる

女湯は鉄壁の防御 だが どんなものにも弱点がある
露天風呂 拡大

この隙間 この空間 これこそが弱点!!

ここに露天風呂に入った女性が立てば まさにミロのビーナス状態 オーソレミオだ

そろそろ身体を支える腕が限界に近づいているが
もう少し もう少し待てば女性が来るハズなのだ

そうだ 早く来い 満員電車の如く 女性専用車両の如く ゴールデンウィーク中の高速道路にあるサービスエリア的女子トイレの如く

女性だらけで満杯になれ!女湯を!

女湯を!!

今日 この日 この瞬間の為に生まれて来たのかと勘違いしそうなほど
懸命に窓から身を乗り出し女湯を見守る自分

「赤原 温泉いこうぜ!」

そんな自分に突如 声をかけるエアー君!!

危うくビックリして窓枠から手を離してしまうところだった

エアー君に殺されそうになった自分は急速に冷静さを取り戻す

考えてみれば
この状況で実際に露天風呂に人が来たならば その時点で自分は覗き魔確定である

「覗いてないよ 窓からメチャクチャ身を乗り出し景色を見ていただけだよ」の言い訳は通用しないだろう

なぜなら片手にデジカメを持っている
しかもメモリーに露天風呂が映っている盗撮確定である

自分は何て愚かな行為をしていたのだろうか
落ちたら死ぬ そんな危険を冒してまで女湯に固執して何が嬉しいのか

そこまでして見たいのか おっぱい

そこまでしないと見れないのか おっぱい

おっぱい……

自分は おっぱいを諦め エアー君と温泉に入りに行くことにした

今後の人生で デジカメを片手に窓枠から身体を乗り出す事は金輪際しないと心に誓いながら

しかし

その誓いは すぐに破られるのだが それは まだ先の事である

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続く

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