運命のコイン 回転

雨の中の葛藤

…何故 雨の中 自分は街を彷徨うのか…
…何故 都合4分もかからない事が こうも長くなるのか…
…何故…

故障

自分は たどり着いた もうひとつの青い自動販売機に

二百円を飲み込んだ自動販売機から3分程の距離だった

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雨は午前よりも強くなり 傘を差さずに通りを歩くのは

人生を変えるほどの大恋愛の相手に失恋したナルシストの女性か
水に打たれるのが趣味のドMの修行僧か
フランス人か自分ぐらいのものだろう

だが
今は雨など気にする暇はない

自分には他に気になる事がある

この青い自動販売機に故障時の連絡先が張ってあるのか ないのかだ

この自動販売機には……それがあった

正面の お金投入口のやや下に黄色の小さな四角いプレートが張ってある
故障時には ここに電話するようにとも書いてある

自分の目的は どうやら ここで達成できそうだ

あの二百円を飲み込んだ悪質自動販売機から お金を取り戻す
そのためだけに自分は雨に濡れながらも歩いてきたのだ

寒さで かじかんだ手で自分はプレートに書いてある電話番号をスマホに打ち込む
雨に濡れた指先が震え何度か打ち間違えをしたが
元々 難しい作業ではない スマホを操る現代人には たやすいものよ

2回程ほどコール音が鳴ったあとに 可愛らしい声の お嬢さんが電話にでた

電話なのだから声だけで お嬢さんかどうかは分からないが
どうせなら可愛い女性と話をしていると思ったほうが楽しい

たぶんメイド服を着ているだろう

いや

裸にエプロンかもしれん!

自分は裸エプロンちゃんに これまでの事情を話した

青い自動販売機に二百円を入れたら商品も出ず お金も返却されない事

その自動販売機には故障時の連絡先が張ってなかった事

連絡先が張ってある この自動販売機の電話番号から電話をかけた事

自分の話を裸エプロンちゃんは従順に聞いていた

想像するに裸エプロンちゃんは

まぁ なんて大変な ご苦労をしたことでしょう
貴方の話を聞いているとエプロンの下の私の胸が熱く高鳴りますわ
雨に打たれ寒さに震える貴方を私の火照った身体で暖めて差し上げたいわ と思っているに違いない

自分の説明が終わると
裸エプロンちゃんは そっと優しく自分に囁いた

裸エプロンちゃんは言う

「当社の設置した自動販売機には全て黄色のプレートが張ってあります
そのプレートがないと言う事は他の業者が設置した自動販売機だと思われます
ですので
当社の方としましては対応の仕様がございません 申し訳ございません」

自分は焦りながら尋ねる

『同じ青い自販機で 同じ飲料メーカーが入っているのに違うの?!』
「はい 自動販売機の設置には多くの業者がいます」

こうして裸エプロンちゃんとの過激な電話は終わった

…まただ

…また雨の中 青い自動販売機の前で自分はポッツンと立っている

心は沈む

雨に濡れ重くなったズボンは下がる

自分の急所を守る最後の砦パンツさえも雨に侵略されつつある

もうダメだ 打つ手がない

自分は痛みで重くなった足を引きずり来た道を戻る
ずぶ濡れになり無駄に歩き足を負傷し二百円を失い何がしたかったのか

自分は二百円を飲み込んだ憎き悪質詐欺自動販売機まで戻ってきた

自動販売機を睨む

もう一度 この自動販売機に蹴りをしようかとも思ったが
これ以上 足を痛めると今後の生活に支障が出る

諦めて このまま大人しく会社まで戻ろう…と思った時に

!閃いた!

自分はスマホを取り出しネットに接続する

この自動販売機の親元 この自動販売機にジュースを入れてる飲料メーカー自体に電話してやる!
ネットで飲料メーカーを検索 誰もが知る飲料メーカーだ

すぐに検索にヒットした

そして飲料メーカーのサイト内を探る

あった!

お客様苦情係の電話番号もある これがラストチャンスだ

自分は そこに電話をかけた

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続く

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