高すぎる目標  後編 ボウリング攻略戦

ボウリングピン

自分達四人は投げた

周りの嘲笑を その身に受けながらもボウリングの玉を投げ続けた

隣のレーンでは お爺さんと その孫が軽快に投げていた
お爺さんは腰も曲がり腕も細い 孫は身体も小さく小学生かも怪しいくらい幼い
だが
お爺さんは孫に良い所を見せつけるかのようにストライクを連発し
孫は お爺さんに教わった技を惜しみなく発揮するがごとくストライクを出している

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一子相伝の奥義があるのかも知れないと勘繰りながら
自分達四人は良い見せ場もないままガターを連発していた
右手の筋力を惜しみなく発揮してもガターを連発し
職人の見習いよろしく お爺さんの技を目で盗んでもガターになる始末

なめていた ボウリングを

終わった時の自分の最高スコアは84
2ゲーム合計で だ

『終われない このままでは』
―確かに そうだ―
『だけど右手が…』
―ああ 限界だ―
『どうする?』
―自分達四人は十分 戦った―
『だが まだ やれる』
―そうだ 自分達四人には達成しなければならない目標がある―
『1度だけでいい』
―そう1度だけでも…
この今にも壊れそうな右腕 右手首 指先を犠牲にしても
震える足が崩れ落ちようとも
成し遂げなければならない目標がある―

『一度だけでも ――ストライクを!―』

そして自分達四人は戦場に帰って来た
自分達四人は戦場でしか生きられないのか
今 終わりなき無謀な戦いが始まる

それは予想を遥かに超える戦いだった

3ゲーム目の第1投

自分は気合を込め全力でボールを投げた
その瞬間
お爺さんが自分に乗り移ったかのような錯覚さえした

フォーム 角度 狙い 全てが完璧だった

ボールがスッポ抜けた事をのぞけば!!

強烈なスピンがかかったボールは あえなく溝に落ちる
が!復活!
溝に弾かれたボールは再びレーンの上を転がっていく

そして

倒してしまった 不動であり無敵であった十本の敵を

心が…折れた
緊張の糸が切れた
その全ての音を聞いた
自分達四人は その瞬間 ドッと疲れた
疲労困憊した身では
ストライクを再び出す事よりも投げる事だけで精一杯だった

長い消耗戦を終えた自分達四人は 苦い思いと共に戦場を後にした

今回
倒した最高敵数32
負傷者四名
重傷だった

もう右手に生中のジョッキを持ち上げる力もない

自分達四人は 次なる戦場 居酒屋を諦め そこで解散をした

兵士にとって無事に家に帰る事こそ本当の勝利だと感じながら
傷ついた身体を引きずり 赤い夕日に照らされ それぞれの帰路へと歩いて行った

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ボウリング攻略戦 終戦

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